
新人は経験が浅いので、どうしてもミスが避けられないと思います。
でも「必要以上に落ち込む」とか、「ミスが減らない」「何度指導しても同じミスを繰り返す」となると、指導係の職員も、どう指導すればよいのか悩んでしまいますよね。
新人がいい加減にしているわけではないのですが、いつまでもミスするのを放置するわけにもいきません。
そこで本記事では、新人のミス連発の原因、見守るのはいつまでかとともに、新人の自覚を促すタイミングと方法を解説します。
また、ミスの多い新人に対しての指導方法の注意ポイントについても、併せて解説します。
新人の育成に悩む指導係の参考にしてください。
***目次***
新人のミス連発の原因は?指導係はいつまで見守る?

(ミス連発の原因)
ミスをするのは、本人に問題があることが多いのですが、主な原因には次のものがあります。
・理解不足、経験不足
・・・最も多い原因ですが、業務を進めるために必要な知識や手順を理解していないため、意図しないでミスをしてしまいます。
また、経験不足で業務に慣れていないので、教わったことを「わかったつもり」で実行してミスを起こしてしまうパターンです。
・報連相の不足
・・・報告、連絡、相談を的確にしないので、自分が業務を進める上で何が必要なのかわからない。
また、わからないことを他の人に聞かずに、自己判断するので、ミスをしてしまいます。
・緊張や集中力が足りない
・・・ミスを責められた経験があると、「また怒られるかも」と不安で集中できない。
集中できないので、さらにミスを重ねる心理的な悪循環に陥ることもあります。
・完璧主義が逆効果
・・・真面目な新人ほどミスを恐れるあまり、確認作業に時間をかけすぎたり、逆に焦ってしまったりすることがあります。
・業務設計やフローの問題
・・・新人の能力レベルに合わない無理な業務量や、複雑すぎる業務フローがミスを誘発している可能性もあります。
これは新人だけではなく、組織全体の業務体制に問題があるということです。
(指導係は、いつまで見守るべきか?)
新人のミスを見守る期間は、明確に「いつまで」という決まりはありませんが、一般的には3ヶ月~半年程度を目安としていることが多いです。
・最初の3ヶ月
・・・業務の基本をある程度理解して、仕事環境に慣れてくる期間です。
ミスはあるにしても、基本的な知識や手順を覚えることを優先し、多少のミスはカバーして成功体験を積ませることを意識させます。
・3ヶ月~半年
・・・徐々に自覚を促すようにして、主体性を持たせます。
ミスをしても、本人に原因を考えさせて、なるべく自分で改善策を出させるようにします。
自分で改善できれば一番良いですが、難しい場合は指導係がアドバイスしフォローします。
・半年以降
・・・主な業務は一人でできるようになり、ミスする頻度も少なくなっているのが理想です。
より高いレベルの業務や、自分が判断する業務をさせ、知識とスキルアップをさせます。
大きいミスや自分で解決できないことなど、指導係が介入してもよいですが、必要最小限にしましょう。
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落ち込む新人の自覚を促すタイミングと方法は?

ミスをして落ち込んでいる新人に、「自覚するように」と言っても、ほとんど効果はないでしょう。
大切なのは、新人の感情に寄りつつ、適切なタイミングで自覚を促し、成長させることです。
(自覚を促すタイミングは?)
・落ち込んだ直後は避ける
・・・ミス直後は、本人が一番落ち込んでいるので、感情が不安定なときに「自覚」を促しても、防衛が起きて冷静に話を聞き入れられないことが多いです。
まずは、「大丈夫?」「何かできることがある?」など、安心感を与えて新人の気持ちを受け止める姿勢を示して、落ち着くのを待ちます。
・冷静さを取り戻した後
・・・本人が落ち着き、ミスを振り返る心の余裕ができた頃も、タイミングの一つです。
例えば、ミスをした翌日や週末明けに、ミスの原因や対応をどうしたのかを尋ねます。
新人に自分で考えるきっかけや、質問を投げかけます。
・小さな成功体験があった後
・・・ミスがあった後ではなく、一つでも何か成功した後に、自覚を促すと前向きに受け取る可能性が高いです。
・ミスの原因が分かった後
・・・ミスの原因がはっきり分かった後に、次はどのようにすると再発を防げるのかを、新人に考えさせる時間を与えます。
具体的な改善策を行動させることで、自覚を促し責任感を持たせます。
(自覚を促す方法)
・問いかけることで考えさせる
・・・「ミスした原因はなにかわかる?」「その原因はどうしたら防げる?」など、答えを与えるのではなく、問いかけることで新人に深く考えさせます。
・信頼していることを伝える
・・・自信を失っている新人には、「期待しているよ」という言葉が大きな後押しになります。
自信を取り戻し自己肯定感が高まるように、信頼していることを伝えます。
・目標と期限をセットする
・・・「この業務は◯◯までに処理しよう」と短期の目標を明確にします。
責任と期待のバランスをとることで、「任されている」という自覚につながります。
新人の自覚は「本人の内側から生まれるもの」ですが、指導係の関わり方次第でその芽が早く育つこともあります。
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新人の指導は間違っていた?指導方法の注意ポイントは?

「こんなに教えているのに、なぜ伝わらない?」「ミスが減らないのは、指導の仕方が間違っていたのか」と新人の育成に疑問を持つこともあると思います。
以下では、新人指導でありがちな間違いと、注意すべきポイントを解説します。
(ありがちで間違った指導)
・教える量が多すぎる
・・・指導するほうは丁寧に説明したと思っても、教える情報が多すぎて、新人はパンク状態になっていることが多いです。
新人は、情報の整理や優先順位がすぐにできないので、何を言われているのかわかりません。
・正解を先に言ってしまう
・・・新人に考えさせるということをしないで、すぐに答えを与えると受け身体制になります。
自分で考えて行動する力が育ちにくく、常に指示待ちになってしまいます。
・感情的に叱る、責める
・・・大声を出すなど感情的に叱ると、委縮してしまい、指導に対しても不信感を持ちます。
また、ミスの分析や改善しようとする気持ちよりも、「自分はもうだめだ」と自信を無くしてしまいます。
・成功を誉めず、注意するだけ
・・・成功していることを褒めないで、注意点ばかり伝えると、自信喪失して仕事への意欲も低下してしまいます。
(正しい指導方法の注意ポイントは?)
・理解しているかを確認する
・・・一方的に指導するのではなく、「ここはどのように理解しているか」と問いかけて、相手にも考えさせて理解度を高めます。
・一段階上の視点を持つように問いかける
・・・「この業務の目的は何だと思う?」と単なる業務ではなく、意味のある仕事と認識させます。
・成功、成長を認める声掛けをする
・・・「今回はうまくできたね」「前より成長したよ」など、結果を認めて評価をすると、相手も自信につながります。
・段階的に責任を持たせる
・・・手取足取りでは本人の成長を止めてしまうので、少しずつ責任を持たせることで、自覚と主体性が育ちます。
・一方的なコミュニケーションにしない
・・・指導は一方的になりやすいので、双方のコミュニケーションが大切です。
「何か困っていない?」「今の説明でわからないことはどこ?」と、新人が質問をしやすい雰囲気を作りましょう。
・成長のスピードを決めつけない
・・・ある新人がすぐに習得できたことが、別の新人にとっては時間がかかる場合もあります。
焦らず、一人ひとりに合ったペースで、粘り強く指導を続けることが、結果的に新人の自覚と成長に繋がります。
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まとめ
新人の成長は一朝一夕にはいきません。
特に半年という期間は、新人が様々な壁にぶつかりながら、少しずつ自覚を育んでいく大切な時期です。
指導係としては、焦らず、根気強く、そして何よりも新人の「成長したい」という気持ちを信じてサポートし続けることが重要です。