
多くの皆さんは、「スコールという言葉の意味は?」と聞かれたら、熱帯地方などでよく見られる突然の大雨のことだと答えませんか?
実は「スコールの意味は、大雨のことではない」ということを知ってる人は、意外と少ないかもしれません。
スコールの正しい意味については、次の項目の中で解説しますが、天気予報に係わる言葉の正確な意味を理解することは、近頃の異常な気象現象への備えにもなると思います。
本記事では、スコールと豪雨・大雨の違い、予報用語の正しい意味と一覧、悪天候の予測ジンクスには何があるのかについて解説するので、参考にしてくださいね。
***目次***
スコールと豪雨・大雨の違いはなに?

(スコールとは?)
1962年に世界気象機関(WMO)により、気象観測向けに定義されました。
・毎秒8m以上の風速増加を伴い。
・最大風速が11m/秒以上。
・1分以上継続するもの。
このように、スコールが意味するのは突然の烈風のことですが、同時に強い雨や雷を伴うことが多いので、熱帯地方でよく見られるような、突然の強い雨のことをスコールとイメージしてしまっていると思います。
そのため、強い短時間の雨をスコールと呼んでいることが多いです。
正しく言えば、強風の伴わない強い雨は、スコールとは違うということですね。
(豪雨とは?)
気象庁の天気予報で用いる用語には、「著しい災害が発生した顕著な大雨現象」とあります。
これは、豪雨とは過去に発生した激甚災害や大雨災害の名前に使用するものなのです。
例えば、浸水家屋が10000棟以上の災害で、西日本豪雨、東北豪雨、九州北部豪雨などに使われています。
そのため、現在降っている大量の雨や激しい雨に対して、「現在豪雨です」というような使い方はしません。
(大雨とは?)
気象庁の天気予報で用いる用語では、災害が発生する恐れのある雨で、特定の時間内に大量に降る雨(該当期間に30mm以上)のことを言います。
(スコール、豪雨、大雨の違い)
分かりやすくいうと、スコールは風、豪雨は過去の雨災害に付けられる言葉、大雨は特定の時間に大量に降る雨という違いがあります。
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天気予報でよく聞く予報用語の正しい意味と一覧表は?

よく聞く予報用語の中からピックアップしたものです。
(風関係)
・猛烈な風・・・風速がおよそ30m/s以上、または最大瞬間風速が50m/s以上の風。
・暴風・・・暴風警報基準以上の風。都道府県ごとに設定しています。
・非常に強い風・・・風速が20m/s以上30m/s未満の風。
・強い風・・・風速が15m/s以上20m/s未満の風。
・強風・・・風の強い状態の総称を言います。
・突風・・・急に吹く強い風で継続時間の短いものを言います。
(雨関係)
・集中豪雨・・・同じような場所で数時間にわたり強く降り、100mmから数百mmの雨量をもたらす雨。
・猛烈な雨・・・1時間に80mm以上の雨。
・非常に激しい雨・・・1時間に50mm以上80mm未満の雨。
・激しい雨・・・1時間に30mm以上50mm未満の雨。
・局地的大雨・・・急に強く降り、数十分の短時間に狭い範囲に数十mm程度の雨量をもたらす雨。「局地的な大雨」とも言います。
(気象災害関係)
・気象災害・・・大雨、強風、雷などの気象現象によって生じる災害。
・二次災害・・・大規模な災害の後に、ある時間間隔をおいて副次的に発生する災害。
・風水害・・・強風と大雨および高潮、波浪により起こる災害の総称。
国土交通省のHPにある「気象庁が天気予報等で用いる予報用語」には、様々な言葉があるので覗いてみると、言葉の意味が分かりますよ。
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大雨、雷、風など、悪天候の予測ジンクスとは?

悪天候の予測に関するジンクスは、科学的に証明されているわけではないのですが、昔からの経験や言い伝えなどで現在も語られるものです。
ただし、これらのジンクスは、自然現象と天気の関係を結び付け、過去からの積み重ねによるものなので、結構当たる場合もあります。
思い当たるものがあれば、ジンクス通りに当たるかどうかを確かめるのも楽しいですよ。
(空や雲に関するジンクス)
・夕焼けになると明日は晴れる
・・・夕焼けになるということは、西の空が晴れているので、翌日は晴れになるということです。
・朝焼けは雨になる
・・・東の空は晴れているけど、西からは天気が崩れてくる兆しだという説です。
・高い雲が早く動くと雨になる
・・・上空の風が強いので、気圧配置が変化しやすいとの考えです。
・飛行機雲がすぐに消えないときは雨が降る
・・・飛行機雲がすぐに消えないということは、上空の湿度が高く雲ができやすいため、雨の兆しだというものです。
(動物などの行動によるジンクス)
・ツバメが低く飛ぶと雨になる
・・・湿度が高くなると昆虫が低い場所を飛ぶので、ツバメもそれを追うため低く飛びます。
湿度が高いということは、雨になる可能性が高いということです。
・カエルが鳴くと雨になる
・・・カエルは、湿度が高くなると活発になって鳴くと言われています。
湿度が高いと、雨が降るということにつながります。
・アリが巣を塞ぐときは雨が降る
・・・雨が降ることを予測したアリが、巣穴に水が入らないように塞ぐということです。
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まとめ
スコールが突然の大雨ではなく、風のことだというのは、ちょっと驚きですね。
また、気象用語は数多くありますが、それらの意味を知ることで、現在の気象状況やこれからの天気がどうなるのかを考えることができます。