
近年、ライフスタイルの多様化に伴い、従来の「家」を中心とした生活という考えに囚われない、「アドレスホッパー」という生き方をする人が増えているようです。
アドレスホッパーとは、特定の住居(生活の中心となる住居)に住まないで、色々な場所を移りながら生活をする人を言います。
その時々の気分や仕事の都合に合わせて、住居を渡り歩くそのスタイルに、魅力を感じる人は少なくありません。
しかし、この柔軟で自由な暮らし方には、住居や宿泊先の選び方、職業との両立、そして税金や住民票はどうしているのか、郵便物の管理をどうするかといった現実的な課題が伴います。
本記事では、それらの課題の問題点や解決策について、詳しく解説します。
アドレスホッパーの住居や宿泊先の選び方と生活スタイルは?

(住居や宿泊先の選び方)
アドレスホッパーは、基本的に次のような有料施設から、自分のスタイルに合った物を選びます。
・ワーキングスペース併設の施設
・・・アドレスホッパーは、一般的にリモートワークをする人が多いので、Wi-Fiが使える場所や、静かな作業空間などワーキングスペースが必要です。
そのため、居住する施設には、リモートワークなどの作業環境が整った宿泊施設でなければなりません。
・中長期滞在向けの施設
・・・ウィークリーマンションやマンスリーマンションなどは、数週間から数か月の中長期の滞在に適しており、コストを抑えやすいです。
一般的にホテルよりも経済的です。
・シェアハウスやゲストハウス
・・・他のアドレスホッパーや、旅行者と交流できるシェアハウスやゲストハウスも人気です。
他人との交流が気にならない人、積極的に交流したい人は、コストを抑えながら、人とのつながりを楽しめます。
・サービスアパートメント
・・・ホテルと賃貸住宅の中間的な機能を備えたアパートで、家具・家電、調理器具、洗濯機などが揃っているので、必要最小限の持ち物で生活できます。
ホテルのようなサービスと、マンションのような居住性を兼ね備えています。
ただし、ある程度の都市でないと、該当する施設が無いかもしれません。
・民泊
・・・地元の人の生活などを体験でき、比較的安価の場合が多いですが、セキュリティ面で不安を感じる人はいます。
(アドレスホッパーの生活スタイル)
アドレスホッパーには、ある程度計画性を持っている人が多いです。
・荷物は最小限に
・・・気軽に居住場所を移るには、持ち運びしやすい最低限の荷物に絞り、必要なものは現地調達するスタイルが主流です。
・移動スケジュールの管理
・・・移動先や宿泊先を事前に計画しておき、長期的な滞在と短期滞在をうまく組み合わせるのもポイントです。
また、仕事をしながら全国各地を転々とするスタイルや、拠点となる場所をいくつか持ち、それらの場所を巡回するスタイルもあります。
アドレスホッパーの職業は?税金、住民票、郵便、宅配はどうするの?

(アドレスホッパーの職業)
アドレスホッパーの代表的な職業としては、以下の職業があります。
・リモートワーク型の正社員
・・・ITエンジニア、デザイナー、ライター、マーケティングなど、PCやネット環境によるリモートワーク型の職種の人。
・フリーランス、個人事業主
・・・ライター、カメラマン、動画クリエイター、通訳、翻訳など、フリーランスや個人事業主の人。
・オンラインビジネス運営
・・・アフィリエイト、ブログ運営、オンラインストアなど、自身のスキルやコンテンツを活用して収益を得る人。
・短期バイトやパートタイム
・・・旅先で短期の仕事をすることで、生活費を補う人。
(税金や住民票の扱い)
アドレスホッパーだからといって、なんでも自由にできるわけではありません。
固定した住居に住んでいないからといっても、税金は納めなければならないし、住民票を持っていなければ、住所不定になってしまいます。
・住民票の登録住所
・・・基本的に住民票は、どこか1カ所に登録しています。
実家や親戚の家、あるいは友人宅を一時的な住所として利用するケースが一般的です。
また、シェアオフィスの住所を使うこともあります。
住民票が無ければ、契約や申請、ローンなど何らかの申し込みなどができません。
・住民税の支払い
・・・住民票を登録している住所に、必ず住んでいるわけではありませんが、住民税は、住民票を登録している自治体に支払います。
収入がある場合、確定申告をして支払いを忘れないように注意が必要です。
・所得税・確定申告
・・・フリーランスや個人事業主の場合は、毎年の確定申告が必須です。
電子申告を利用すれば、どこにいても手続きが可能です。
(郵便物の受け取り方法)
郵便物の受け取りには工夫が必要です。
・実家やシェアオフィスなど
・・・これらの住所を利用する場合は、家族やシェアオフィスの管理人に受け取りを依頼することができます。
・転送サービスの活用
・・・「転送サービス」を利用して、登録した住所宛の郵便物を新しい宿泊先に転送できます。
・郵便局留めサービス
・・・特定の郵便局で郵便物を受け取る「郵便局留め」を活用することで、どの地域に滞在していても受け取れます。
(宅配の工夫)
宅配便や荷物の受け取りには以下の方法があります:
・コンビニ受け取り
・・・一部の宅配業者では、コンビニ受け取りを指定できます。
滞在先近くのコンビニを指定すると便利です。
・宅配ロッカーの活用
・・・駅や公共施設、マンションに設置されている宅配ロッカーを利用すれば、好きな時間に荷物を受け取ることができます。
・シェアハウスや宿泊施設の受け取りサービス
・・・一部の宿泊施設では荷物の受け取りを事前に確認しておくと安心です。
アドレスホッパーのリアル!自由な暮らしの裏側と問題点と解決策は?

アドレスホッパーには「自由で刺激的」というイメージがありますが、その裏側にはさまざまな問題点が潜んでいます。
(アドレスホッパーの問題点)
「住居や宿泊先の確保が不安定」
・・・常に住居を探し続ける必要があります。
宿泊先が確保できないときや、予想外に宿泊費が高くなる場合があります。
また、エリアによっては、宿泊先の選択肢が限られていることも心配です。
・解決策
・・・生活について計画を立て、早めの予約を心がけます。
特に繁忙期や観光地では、事前予約が必須です。
ウィークリーマンションなどの中長期滞在プランを活用し、コストを抑えます。
「荷物の管理が難しい」
・・・荷物が多すぎると移動が大変になり、少なすぎると生活が不便になるジレンマがあります。
さらに、宅配物や郵便物の受け取りも不安です。
・解決策
・・・必要最低限の荷物に絞り、必要なものは現地調達します。
衣類は少数精鋭で選び、コインランドリーを活用するとよいでしょう。
郵便物は「郵便局留め」や「転送サービス」を活用し、宅配物はコンビニ受け取りや宅配ロッカーを利用します。
「社会的な手続きや税金の管理」
・・・住民票の登録場所や住民税の支払い、社会的な信用の問題(クレジットカードやローンの審査)が出てきます。
・解決策
・・・住民票は、実家や親しい人、シェアオフィスの住所を借りて登録します。
フリーランスや個人事業主の場合、確定申告を電子申請で行うなど、税金の管理のデジタル化をしましょう。
長期的な社会的信用を維持するため、クレジットカードや銀行口座をしっかり持って、安定的に使用します。
「孤独感やコミュニティの欠如」
・・・常に移動しているため、親しい友人や家族とのつながりが薄れ、孤独を感じることがあります。
・解決策
・・・ワーキングスペースやシェアハウスなど、人との交流がしやすい場所を選びます。
SNSやオンラインコミュニティを活用して、趣味や仕事を通じてつながりを築くのも良いでしょう。
「健康管理が難しい」
・・・移動生活の中で、食生活が乱れたり運動不足になり、体調を崩しやすい面があります。
・解決策
・・・キッチン付きの宿泊施設を選び、自炊を習慣にします。
荷物に軽量なフィットネス器具(ヨガマット、トレーニングバンド)を加え、移動先で簡単な運動を取り入れます。
定期的な健康診断を受け、体調管理に気を配るのも一つの方法です。
「収入の安定性」
・・・フリーランスや短期バイトでは、収入が不安定になりがちです。
長期の移動生活には、継続的な収入が不可欠です。
収入が無い場合は、アドレスホッパーになるのは、はっきり言って無理です。
・解決策
・・・リモートワーク可能な仕事を確保し、収入源を複数に分散させます。
デジタルスキルを磨き、オンラインビジネスや副業を積極的に展開します。
まとめ
アドレスホッパーのライフスタイルには多くの魅力がある一方で、現実的な課題も少なくありません。
快適で安定した生活を送るには、資金、住居や税金、荷物管理などの現実的な問題に対する解決策を用意し、柔軟に対応する力が求められます。
自由な暮らしを楽しむためには、準備と計画性を持ちながら挑戦することが必要です。