
「もしかして、うちの子、チック症かも?」
チック症は、子供だけでなく大人でも見られる症状で、無意識に体を動かしたり、声を出したりするので、周りの人はちょっとびっくりすることがあります。
最近、子供にこのようなチック症状が出ているのを見て、気にしている親が多くなっているようです。
親としては、もしチック症だったら、何とか改善しなければと心配になりますよね。
そのような人に本記事では、チック症の原因・症状・治療法や、原因が親の場合のNG行為、日常生活でできる改善のポイントについて、詳しく解説します。
チック症の基本知識を学び、子供に対して適切な対応をしましょう。
***目次***
チック症の基礎知識!子供と大人の原因と症状は?治療法はあるの?

(チック症とは?)
チック症とは、本人の意思とは関係のない体の動きや、音声の発生を繰り返す症状を指します。
急に立ち上がったり、変顔をする、叫び出すとか、ちょっと変だなと思う症状が目立つようです。
子供の頃に発症することが多いですが、大人になってから発症することもあります。
(主なチック症の種類)
症状は一時的なものから、長期間続くものまでさまざまです。
・一過性チック症
・・・主に子供に多いチック症で、1年以内に消失する軽度のチック症です。
・慢性チック症
・・・1年以上持続する運動チック、または音声チックの場合です。
・トゥレット症候群
・・・運動チックと音声チックの両方が1年以上続きます。
(子供と大人のチック症の原因)
チック症の原因は、まだ解明されていない部分も多いですが、遺伝的要因、環境的要因、ストレスなどが考えられているそうです。
「子供のチック症の原因」
子供のチック症の場合、主に次の原因と考えられています。
・脳の発達の過程
・・・神経系の未熟さが、普段の行動に何らかの影響している。
・ストレスや環境要因
・・・学校や家庭での不安やプレッシャーが限界を超えてしまい、何らかの行動をとってしまうのではないか。
・遺伝的要因
・・・家族にチック症の既往がある場合、発症しやすい傾向があるのでは。
・神経伝達物質の異常
・・・ドーパミンの過剰分泌が、神経伝達に関係しているのでは。
「大人のチック症の原因」
・子供の頃のチック症が継続
・・・成長しても、症状がそのまま残るケースです。
・強いストレスやプレッシャー
・・・仕事・人間関係などによるストレスなどが、限界を超えてしまい、普段とは異なる行動をとってしまいます。
・脳の障害や疾患の影響
・・・脳の異常や精神疾患が、何らかの影響を与えています。
本人が抑えようとしても、発作的にチック病の症状が出てしまいます。
・薬物やカフェインの影響
・・・刺激物が原因で、症状を悪化させることもあるのでは、という説です。
薬物の場合は、副作用が起こることもありますが、カフェインでチック病を促進するかについては、分からないようです。
(チック症の主な症状)
チックの症状には、主に次のチックがあります。
・運動チック(体の動きに関するチック)
・・・まばたきを頻繁にする、顔をしかめる、口をゆがめる、首を振る、肩をすくめる、手足をピクピク動かす、舌を出す、腕を振り回す、地団太を踏む、突然飛び上がるなどがあります。
・音声チック(発声に関するチック)
・・・咳払いを繰り返す、鼻を鳴らす、舌打ちをする、突然大声を出す、汚言症(不適切な言葉を繰り返す)、唸り声を出す、バカなどの悪口を言う、何らかの奇声などがあります。
・大人のチック症の症状
・・・物にベタベタ触る、咳払いを繰り返す、唸り声を出す、頻繁にあくびをする、突然人を叩く、急に飛び上がるなどがあります。

(チック症の治療法は?)
・自然に改善する
・・・チック症は、症状が軽ければ特別な治療をしなくても、自然に改善することが多いと言われています。
そのため、ほとんどの場合は、放置しておいても良いようです。
親の中にも子供の癖だからと言って、気にしない人もいます。
ただし、重症化した場合は適切な対応が必要です。
重症とは、頻繁に繰り返す、長期間にわたる、相手を傷つける、自分を傷つける、発作を起こすなどの症状で、日常生活に支障をきたす場合です。
チック症は、小児科や小児神経科・児童精神科でチック症の診察を行っています。
チック症を診察できる病院は、下記の一覧表で確認できます。
「環境調整と生活習慣の改善」
・生活を規則正しくする
・・・十分な睡眠と規則正しい生活を心がけるようにします。
食事や入浴の時間は、なるべく毎日同じ時間に行います。
夜更かしをしないで、適切な時間に睡眠をとるようにします。
子供の睡眠は、7~8時間はとりたいものです。
日常生活を規則正しくして、子供の精神的安定を促す方向へ行きましょう。
・過度に注意しない
・・・親が過度に注意しすぎないようにします。
気にしすぎると、子供の症状も悪化し、親もヒステリー状態になることもあります。
チック症の傾向がみられたからといって、極度に叱りつけるとか、暴力をふるうことは絶対に避けてください。
「行動療法:認知行動療法」
チック症の治療法として、次の療法がありますが、日本ではほとんど普及していないので一般的ではないようです。
一応、次のような治療法もあるということで、参考にしてください。
・ハビット・リバーサル療法(HRT)
・・・チックを意識し、代わりの動作を取り入れます。
・暴露反応妨害療法(ERP)
・・・チックの衝動を抑える訓練を行います。
「薬物療法:重度の場合」
必要に応じて、専門医の診察やカウンセリングを受けることをおすすめします。
病院などの治療法として、抗精神病薬(ハロペリドール、リスペリドン など)や、ADHDや不安障害を併発している場合、適切な薬を併用することもあります。
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原因が親だとチック症は悪化する?親のNG行為とストレスの関係は?

チック症については、ストレスが症状を悪化させる大きな要因であることが分かっています。
特に、子供がチック症の場合、親の接し方や家庭環境が大きな影響を与えることがあるので注意してください。
(チック症とストレスの関係)
チック症の症状は、緊張や不安などの心理的ストレスによって悪化することが知られています。
特に、以下のような状況では症状が強くなることがあります。
・学校や塾
・・・学校や塾での成績のプレッシャーにより、ストレスが溜まります。
良い成績をとらなくてはとか、勉強がわからないなど、色々なプレッシャーがあります。
・子供に緊張感を与える
・・・叱られたり怒られたりする場面で、生じることがあります。
親が大声を出して叱ったり、怒ったりすることや、そのことを前もって想像することで子供に緊張感を与えてしまいます。
・家庭内の不安定な雰囲気
・・・両親の関係が悪いとか、過干渉により子供の自立心を疎外して、ストレスを感じさせてしまいます。
子供の前で夫婦喧嘩を行うなどは、とても悪い見本です。
・イベント前のストレス
・・・発表会のように人前に出るイベントが迫ってくると、緊張でストレスが溜まってしまいます。
うまくできるだろうか、失敗したらどうしようなど、子供心に思ってしまいます。
なんとかリラックスできるように、励ましましょう。
・親の接し方
・・・親の接し方が子供にとってストレスの原因になることもあり、無意識のうちに症状を悪化させてしまうケースもあります。
子供にはゆったりとした会話で接し、行動を焦らせることのないようにしましょう。
(親がやりがちなNG行為)
子供に対して親が関わる中で、子供がストレスを感じ、症状を悪化させる行動があります。
「過度に指摘する」
・チック症状を過度に指摘する
・・・「また始まった!」、「チックをやめなさい!」など、チック症状が出るたびに注意したり、やめさせようとしたりすると、お子さんは緊張し、ストレスを感じてしまいます。
・NG理由
・・・・チック症は無意識に出るものであり、本人の意思ではコントロールできません。
指摘されることで「やめなきゃいけない」と意識しすぎて、逆にストレスが増し、症状が悪化することがあります。

「過度に心配しすぎる」
・心配しすぎ
・・・「チックがひどくなっているけど大丈夫?」「病院に行かないとまずいじゃない?」と言ってしまう。
・NG理由
・・・親が過度に心配すると、子供も「自分は病気なのかも…」と不安になり、ストレスが増加します。
チック症は成長とともに自然に改善することが多いため、過剰な反応は逆効果です。
「厳しくしつけすぎる」
・しつけの行き過ぎ
・・・「姿勢を正しくしなさい!」「静かにしなさい!」と、チック症のことを深く考えないで、一方的にしつけることが多い。
・NG理由
・・・過度なしつけはプレッシャーになり、ストレスを増やします。
特に完璧主義を求めると、子供が萎縮しやすく、チック症の症状が悪化する可能性があります。
「兄弟や友達と比較する」
・本人以外と比較する
・・・「お兄ちゃんはそんなことしなかったのに…」、「○○くんはちゃんとできているのに、どうして?」よくあるパターンです。
・NG理由
・・・比較されることで子供は自信をなくし、ストレスを感じます。
チック症のある子供にとって、自分を否定されることは大きな精神的負担になります。
「家庭内の雰囲気が悪い」
・夫婦げんかが多い
・・・怒鳴り声や叱責が絶えないとか、けんかばかりしている。
・NG理由
・・・家庭環境のストレスは、子供のチック症を悪化させる要因になります。
子供は親の感情を敏感に察知するため、家庭内の緊張感が続くと不安が高まり、症状が強くなることがあります。
チック症でなくても、子供が親の喧嘩を見たいことはありません。
(チック症を悪化させない親の正しい接し方)
「指摘しない」
・気にしすぎず、自然に接する
・・・チックを指摘しないで「気にしないよ」と安心させることが必要です。
また、子供がリラックスできる環境を作ることも大切です。
・ポイント
・・・チック症は、緊張感やストレスから起きる一時的なものが多いです。
無理に抑えようとせず、自然に受け入れることが大切です。
「リラックスできる時間を増やす」
・リラックスさせる
・・・好きな遊びや趣味に集中させましょう。
また、ゆっくり深呼吸をする習慣をつけるのも良いし、お風呂やストレッチでリラックスさせましょう。
・ポイント
・・・楽しいことに集中すると、チックの頻度が減ることがあります。
ストレスを感じる時間を減らしましょう。
「褒める・認める習慣をつける」
・褒める・認める
・・・「頑張ってるね!」、「○○ができたね!」と子供の行動を認めます。
・ポイント
・・・「ダメ!」ではなく「できたこと」に注目し、子供の自信を育てるようにしましょう。
子供は、親から褒められることが大好きです。

「家庭の雰囲気を穏やかにする」
・親自身がリラックスする
・・・怒鳴らず、穏やかに話すのを心掛け、夫婦げんかを避けることが重要です。
・ポイント
・・・子供が安心できる環境を作ることで、ストレスが減り、チックの症状が改善しやすくなります。
親の仲の良い所を見ると、子供はすごく安心感があります。
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イベント前は要注意!日常生活でできるチック症の改善ポイントは?

イベント前は特に、チック症の症状が出やすい時期です。
環境の変化や緊張、興奮などがチック症状を誘発することがあります。
(日常生活でできる改善ポイント)
・イベント前の緊張を和らげる方法
・・・親から「完璧じゃなくてもいい」と伝え、プレッシャーを軽減させます。
事前に練習をして慣れさせることで、環境に適応しやすくなります。
深呼吸やリラックス方法を教えることで、落ち着きを取り戻します。
・時間に余裕を持つ
・・・子供はイベント当日には、時間に余裕を持って行動し、焦らないようにしましょう。
・休憩
・・・子供は、周囲の音が気にならない場所で、休憩を取ることも有効です。
親もイベント後に心身のケアを忘れず、ゆっくりと休息を取らせてあげましょう。
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まとめ
チック症の原因は様々ですが、自然に治ることがほとんどと言われています。
または、専門医などの適切な治療を受けることで、症状を改善することができます。
もしチック症の症状でお悩みの方は、一人で悩まずに、専門医に相談してください。