
「あっ、差し歯が取れた!」
食事中や歯磨き中、はたまた何気ない時に、突然差し歯が取れてしまった経験がある人は多いのではないでしょうか。
取れた原因は様々ですが、その後の治療をスムーズに進めるには、適切な応急措置が必要となります。
本記事では、差し歯が取れる原因や応急処置と避けること、匂いや放置したらどうなるのか、治療と期間、費用、再発防止対策について解説します。
差し歯が取れて、困ったときの参考としてぜひお役立てください。
***目次***
差し歯が取れる原因は?応急措置と避けることは?

(差し歯が取れる原因とは?)
差し歯が取れる主な原因には、以下のようなものがあります。
・接着剤の劣化
・・・差し歯を固定している接着剤が劣化し、接着力が無くなるものです。
・過剰な噛み合わせ
・・・固い食べ物を噛むとか、歯ぎしりなどで過剰な力が加わり、歯が取れるものです。
・虫歯の進行
・・・差し歯の土台となる歯が虫歯になり、固定する力が弱くなって取れます。
・事故や衝撃
・・・転倒や外部からの衝撃により、差し歯が折れたり外れます。
・歯周病
・・・歯周病が進行すると歯茎が下がり、歯を支える骨が溶けてしまうため、歯が抜けてしまいます。
(応急措置の方法)
差し歯が取れた際には、以下の手順で応急処置を行いましょう。
・差し歯と歯の清掃
・・・取れた差し歯を流水で洗い、汚れを落とします。
・乾燥させる
・・・差し歯をタオルやティッシュで拭き、水分を取ります。
・差し歯を保管する
・・・清潔な容器に入れ、乾燥した状態で保管します。
無くさないように大切に保管してください。
・口の中を清潔に保つ:
・・・差し歯が取れた部分やその周辺を、うがい薬や歯ブラシで優しく清掃します。
歯茎が腫れたり、出血したりする場合は、冷たいタオルなどで患部を冷やすと良いでしょう。
・歯医者を予約
・・・応急処置をしたら、早急に歯科医院に連絡して、当日かなるべく早い日に予約をしましょう。
(差し歯が取れた際に避けること)
取れたままの状態よりも、炎症などを起こして悪い状態になる可能性が大きいので、次のようなことは避けてください。
・自分が接着剤で付け直すこと
・・・自分で接着剤などを使用して、差し歯を付け直すことは絶対に避けてください。
外れた歯を自分でつけても、しっかりと接着しません。
歯科医院で適切な処置を受ける必要があります。
・硬いものを食べること
・・・差し歯が取れた部分の歯や歯茎を傷つけることがあります。
・歯穴をほじること
・・・歯が取れた後の部分や、歯穴を傷つけたりして炎症を起こすことがあります。
差し歯が取れた場合、匂いや放置したらどうなるのか?

(差し歯が取れたときの匂いの原因とは?)
・虫歯の進行
・・・土台の歯が虫歯になると、歯が取れたとき、腐敗臭がすることがあります。
・歯周病
・・・差し歯の周囲で歯周病を起こしている場合、膿や細菌の繁殖による匂いがします。
・汚れの蓄積
・・・差し歯が取れて歯の内部が露出し、汚れや食べカスが溜まって匂いが発生することがあります。
・歯根が折れている
・・・歯根が折れて細菌感染が起こり、臭いがすることがあります。
(差し歯を放置した場合のリスク)
・虫歯や歯周病の悪化
・・・取れた部分が露出していると、細菌が入ることがあり、虫歯や歯周病が進行することがあります。
・歯の移動や噛み合わせの悪化
・・・取れた状態を長く放置すると、周囲の歯がその空間に移動し、噛み合わせや歯並びが悪化することがあります。
・口臭の発生
・・・虫歯や汚れがある場合、口臭が慢性的に強くなることがあります。
・審美性の低下
・・・前歯など目に見える差し歯が取れると、見た目が悪くなり、精神的なストレスを感じることがあります。
・治療期間の長期化
・・・放置したままだと再治療が難しくなり、治療期間や費用が増加することがあります。
最悪の場合、差し歯の土台となる歯自体を抜歯しなければならないこともあります。
差し歯の治療と治療期間と費用、再発防止対策は?

差し歯の一般的な治療の流れと治療期間、費用相場、そして再発防止策は次のようになります。
(治療の流れ)
・診査・診断
・・・口腔内の状態を詳しく診査し、レントゲン撮影などを行います。
差し歯が取れた原因や、周囲の歯の状態、歯茎の状態などを確認し、適切な治療法を決定します。
・治療法の選択
・・・差し歯の治療法には、大きく分けて3つの方法があります。
①再装着
・・・差し歯が破損していないのと、土台の歯の状態も良い場合は、元の差し歯を再装着することがあります。
この場合、歯の清掃や消毒を行い、接着剤で差し歯を固定します。
虫歯や劣化がある場合、土台を治療・修復した後に再装着します。
②新しい差し歯の作成
・・・破損していたり、歯の状態が悪い場合は、新しい差し歯を設置します。
再度歯の型取りを行い、セラミックや金属などの素材を使い、新しい差し歯を作製します。
一般的には、この方法で治療するのが多いです。
③その他の治療
虫歯や歯周病が原因で差し歯が取れた場合は、まずそれらの治療から行います。
また、歯根が折れている場合は、抜歯が必要になることもあります。
(治療期間の目安)
・再装着のみの場合
・・・1回の通院(30分~1時間程度)
・土台の修復が必要な場合
・・・2~3回または2~3週間(虫歯治療後の仮詰めや型取り、装着まで)。
・差し歯の作り直しの場合
・・・2~4回または2~4週間(型取り後、技工士による作成期間を含む)。
(差し歯の治療費用)
保険適用の有無や、素材の選び方により異なります。
以下は一般的な費用の目安です。
・保険適用の差し歯
・・・素材が硬質レジンなどを使用した場合は、比較的安価です。
費用としては、1本約5,000~10,000円(保険適用3割負担の場合)程度です。
・保険適用外(自由診療)の差し歯
・・・セラミックは、自然な見た目、耐久性に優れています。
→ 1本約30,000~50,000円程度です。
ジルコニアは、高強度、審美性が高いですが、 1本約80,000~200,000円程度です。
(差し歯の再発防止対策)
・適切なケアを心がける
・・・歯磨き後、フロスや歯間ブラシを使用し、差し歯と歯茎の境目を丁寧にケアし、汚れを残さないようにします。
・歯科検診を定期的に受ける
2~3か月に1回は歯科医院で検診を受け、差し歯や歯茎の状態をチェックします。
・生活習慣の改善
・・・硬い食べ物や、粘着性のある食品はなるべく避けます。
・歯ぎしりや食いしばりを防ぐ
・・・マウスピースを装着し、差し歯への負担を軽減する方法もあります。
・質の高い差し歯を選ぶ
・・・保険適用の差し歯は耐久性が劣る場合があるため、長期的な使用を考慮してセラミックやジルコニアなどの素材を選択することも検討します。
ただし、保険適用の差し歯でも、一般的には数年~10年以上は持つことが多いです。

まとめ
差し歯が取れた場合、匂いや不快感があるときは早急に歯医者に相談してください。
取れた状態を放置せず、適切な治療を受けることで、トラブルの進行を防ぎ、歯の健康を守りましょう。