
ぎっくり腰は、突然腰に激しい痛みがあり、動けなくなってしまうという症状で、経験者ならその辛さが分かりますよね。
また、誰でも起こる可能性があり、一度なると再発しやすいというのがやっかいです。
しかし原因を理解し、しっかり予防対策をすることで、ぎっくり腰になるリスクを減らすことができます。
本記事では、ぎっくり腰の原因と症状、対処法、治療と自宅ケアなどを解説します。
ぎっくり腰が心配な人、お悩みの人は、ぜひ本記事をお読みください。
***目次***
ぎっくり腰の原因と症状は?激痛を引き起こすメカニズムは?

(ぎっくり腰とは?)
ぎっくり腰(急性腰痛症)とは、突然腰に強い痛みが走る症状のことです。
いつ起こるかは分からず、「魔女の一撃」という怖い言い方もあります。
(ぎっくり腰になりやすい状態)
主に次の状態のときに、炎症を起こしたり、損傷で痛みがでます。
・筋肉・靭帯の損傷
・・・筋肉の柔軟性が低い時に、何らかの動作で腰の筋肉や靭帯を損傷したとき。
・腰椎のトラブル
・・・腰椎(背骨の腰部分)の関節がずれてしまったとき。
・椎間板の損傷
・・・加齢や長時間の悪姿勢によって椎間板(背骨のクッション部分)が劣化し、突然の体の動きで圧迫されたとき。
・血流の悪化・筋肉のこわばり
・・・冷えや長時間の悪姿勢によって、血流が悪くなり、筋肉がこわばっているとき。
・骨盤の歪み・姿勢の乱れ
・・・猫背や反り腰などの悪い姿勢が続いたとき。
・疲労の蓄積
・・・睡眠不足やストレス、栄養不足などにより、筋肉の疲労が溜まったとき。
(ぎっくり腰の主な症状)
・突然の激しい腰の痛み
・・・立ち上がったり、体を動かすことができないほどの痛み。
・傷みの部位
・・・腰全体、または腰の一部に激しい痛み。
・痛みの種類
・・・ズキズキとした痛み、刺すような痛み、締め付けるような痛みなど様々な種類の痛み。
・痛みの持続時間
・・・数分から数日続くことがあり、安静にしていても痛みが続くこともあります。
・その他の症状
・・・痛み以外に、足にしびれがあるときは、神経が関与している場合があるので、早急に整形外科での診療を受けてください。
(ぎっくり腰のメカニズム)
・なぜ突然痛みが起こるのか?
・・・腰の筋肉・靭帯・関節・椎間板などに急激な負担がかかり、損傷や炎症が発生することで起こります。
特に、
・筋肉や靭帯の損傷
・・・筋肉や靭帯が損傷すると、炎症物質が放出され、痛みが生じます。
・椎間板の問題
・・・椎間板が変形し、神経を圧迫すると、神経に沿って痛みや痺れが生じます。
・腰椎の歪み
・・・腰椎が歪むと、周囲の筋肉に過剰な負担がかかり、炎症や痛みが生じます。
一度ぎっくり腰を経験すると再発しやすいので、日頃からのケアが重要です。
ぎっくり腰の対処法!食事、生活改善、ストレッチ&トレーニングは?

(ぎっくり腰になったときの対処法)
「発症直後の対応(48時間以内)」
基本は安静ですが、適度に体を動かさないと血流が悪化し、回復が遅れる場合があるようです。
無理はいけませんが、ある程度動かせるのであれば、動いたほうが良いと言われています。
・冷やす(最初の48時間はアイシング)
・・・炎症がある場合は、氷や冷却シートを15〜20分あてて冷やします。
・無理にストレッチしない
・・・初期の段階では安静が大切です。
無理にストレッチをするのは避けましょう。
・楽な姿勢を見つける
・・・仰向けで膝を曲げる、横向きに寝るなどして、負担を減らす姿勢になりましょう。
・コルセットを活用する
・・・腰をサポートし、動きを安定させます。
「2日目以降の対処」
・温める(入浴や温熱シート)
・・・48時間を過ぎたら、温めて血流を促進させます。
・軽いストレッチやウォーキングを始める
・・・体を徐々に動かして回復を促します。
(食事)
炎症を抑える栄養素を積極的に摂取しましょう。
・抗酸化作用のある食品
・・・ビタミンC、ビタミンE、βカロテンなどを多く含む緑黄色野菜や果物。
・タンパク質
・・・肉、魚、大豆製品など。
・カルシウム
・・・牛乳、乳製品、小魚など。
これらの栄養素をバランス良く摂取し、偏りのない食生活を心がけましょう。
(生活改善)
ぎっくり腰を繰り返さないためには、姿勢、睡眠、ストレス対策など生活習慣の見直しをしましょう。
・正しい姿勢
・・・猫背や前かがみの姿勢は避け、背筋を伸ばし、正しい姿勢を保つように心がけます。
・睡眠
・・・睡眠不足は、筋肉の疲労回復を妨げます。
十分な睡眠時間を確保し、質の高い睡眠をとりましょう。
・ストレス対策
・・・ストレスは、筋肉を緊張させ、ぎっくり腰を引き起こしやすくします。
自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。
(ストレッチ&トレーニング)
「簡単ストレッチ」
・猫ポーズ(背骨の柔軟性UP)
・・・四つん這いで背中を丸めたり反らしたりします(10回)
・仰向けひざ倒し(腰回りのストレッチ)
・・・仰向けで膝を立て、左右にゆっくり倒します(10回)
・ハムストリングスストレッチ(腰の負担を軽減)
・・・片足を前に伸ばし、体を前に倒して太ももの裏を伸ばす(左右30秒ずつ)
「腰を強くするトレーニング」
・ドローイン(腹筋を鍛えて腰を守る)
・・・仰向けで膝を立て、お腹をへこませながら呼吸をする(10秒×3回)
・ブリッジ(骨盤の安定)
・・・仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げて5秒キープ(10回)
・プランク(体幹強化)
・・・うつ伏せで肘をつき、体を一直線にキープ(30秒×2セット)
「継続のポイント」
・毎日短時間でもOK!習慣化することが大切です。
・無理せず、痛みを感じたら中止しましょう。
ぎっくり腰の病院での治療と自宅ケアは?

病院での適切な治療を受けることはもちろん、自宅でのケアも早期回復に大きく影響します。
(ぎっくり腰になったら病院に行くべき?)
ぎっくり腰は軽症の場合、自宅での適切なケアで回復することが多いです。
しかし、次の症状がある場合は、早めに病院を受診してください。
・強い痛みで動けない。
・安静にしても痛みが改善しない。
・腰だけでなく、足にしびれや麻痺がある。
・排尿・排便障害がある。
・何度もぎっくり腰を繰り返している。
これらの症状がある場合、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、他の疾患が原因になっている可能性があります。
(病院でのぎっくり腰の治療方法)
病院では、一般的に以下のような治療が行われます。
「検査」
・問診・視診・触診
・・・痛みの部位や動作をチェックします。
・X線(レントゲン)検査
・・・骨折や椎間板の異常がないか確認します。
・MRI検査(必要な場合)
・・・椎間板ヘルニアや神経圧迫の有無を調べます。
「薬物療法」
比較的症状が悪くない場合は、痛みを和らげるための処方を行います。
・鎮痛剤
・・・ロキソニン・カロナールなど。
強い痛みがある場合、痛み止めを服用します。
・筋弛緩剤
・・・筋肉の緊張を和らげます。
「物理療法(リハビリ)」
・温熱療法
・・・ホットパック・赤外線などで、 血流を改善し、痛みを和らげます。
・電気治療
・・・低周波治療などで、筋肉の緊張をほぐし、痛みを軽減します。
・牽引療法
・・・腰を軽く引っ張るなどで、椎間板の負担を軽減することがあります。
「注射療法」
痛みが強い場合には、神経ブロック注射などで、局所麻酔を注射し、痛みを抑えます。
「運動療法」
腰回りの筋肉を強化する運動やストレッチを行い、再発を予防します。
「装具療法」
コルセットなどの装具を装着することで、腰椎を安定させ、痛みを軽減します。
(自宅でできるぎっくり腰のケア)
病院での治療と並行して、自宅でのケアも大切です。
・安静
・・・痛みが強い場合は、無理せず安静に過ごしましょう。
・冷却
・・・炎症が強い場合は、患部を冷やすことで痛みを和らげます。
・温熱
・・・痛みが和らいできたら、患部を温めることで血行を促進し、回復を促します。
・ストレッチ
・・・痛みが落ち着いてきたら、無理のない範囲でストレッチを行い、筋肉の柔軟性を高めましょう。
・生活習慣の改善
・・・姿勢、睡眠、食事など、生活習慣を見直すことで、ぎっくり腰の再発を予防することができます。
まとめ
ぎっくり腰は、急な動きや筋肉の疲労、血流の悪化などが原因で発症します。
発症後は、専門医の診断を受け適切に対処する必要があります。
また、日頃から食事・生活習慣の見直し、ストレッチやトレーニングで予防をするようにしましょう。